あにろっくのブログ

誰かの明日への生きる力になれたらと思います。いやまじめか!

僕のご主人様は。3

朝、目が覚めると、隣に女性が寝ていた。「あの、すみません。起きてください。」僕は彼女の体をゆすって起こした。「ん〜。」彼女は起きたてで開かないまぶたをほんの少し開け、僕を撫でた。頭を3回撫でてから僕の両方の頬を指で軽くつまんでくるくる回し、満足したのかその指を離した。「おなか、空いてるよね。」彼女はそう言って、朝食をつくってくれた。「おいしい。」いつ振りの食事だろうか、とんと記憶が無い。それにしても彼女はボブの髪型が似合っていて、お尻が大きい。僕の好みだ。少しいやらしいことを想像しながら、呼吸が乱れるのだった。

「きのうのこと覚えてる?」と、彼女は僕に尋ねる。「いや、何も覚えてない。っていうか、僕は誰?」「え?冗談でしょ。そういうのいいから。どうせ帰りたくない口実でしょ。まあいいわ、あなたのこと嫌いじゃないし、フッ、記憶が戻るまで泊めてあげる。その代わり、部屋からは一歩も出ないで。いい、分かった?返事は?」と、彼女は理不尽なことを言っているが、しかたがない。どうせ記憶が消えてしまっているのだから、言うことを聞こう。」少し間があって、「はい。」と僕が言う。朝食のあと、彼女が身じたくを整えている間、僕が部屋の中をウロウロしていると、「ちょ、じゃまー、お昼は朝の残りがあるから、大丈夫ね、その代わり夜ごはんは美味しいの買ってくるから。いい子にして待っててね。じゃ、行ってくるね。」と仕事に行ってしまった。テーブルの上には鏡とメイク道具。置きっぱなし、洗濯物も干しっぱなしだ。片付けようと思ったが、下手なことをすると叱られそうなのでやめた。そういうところは鼻が効くのだ。それにしてもこの感覚、前にも味わったことがあるような気もするが、思い出せない。起きたばかりだが、どうにもこうにも腰が痛い。天気のせいなのか、頭も重い。彼女の残り香のするソファに座っていると……。「ま、眩し。眩しい…」「起きて、起きてーほら、夜ごはんだよ。おなか空いてるでしょ。買ってきたよ。ほら、食べな。」仕事から帰ってきた彼女だ。彼女は僕は見るなり、ニコッと笑顔になる。すると僕もニコッと笑顔になる。幸せな時間だ。寝てただけでも腹は減る。彼女は風呂の栓を締めて、湯はりのスイッチを入れる。彼女は上着を脱いで、シャツのボタンを外し、メイクを落とし始めた。ファンデーションの付いた汚れたコットンをゴミ箱に捨てて、残りの服も脱いで洗濯機に投入。彼女は風呂へ向かう。「からだ洗ったげるから、一緒に入ろ。」僕もついていく。お湯と彼女の手がとても温かく、気持ちがいい。僕は湯船が嫌いなので、シャワーですべての泡を洗い流してもらう。彼女にバスタオルで拭いてもらい、髪を乾かしてもらう。僕も彼女の髪を乾かしてあげようとすると、「いい、自分でやるから。」髪を乾かし終わるとそのままリビングで一緒にテレビを見る。

「今日ね、仕事で失敗しちゃった。大切なお客さんとのアポイント取り付けていたのに、すっかり忘れてて、契約取り逃しちゃった。何やってんだろ、わたし。」彼女は僕を撫でながら、うっすら涙を浮かべている。「そっか、でも、君らしくないミスだね。もしかして、僕の・・・」と言おうとした時、「今日はあなたがいてくれてよかった。こうやって話を聞いてもらえるだけで気持ちがスッキリした。ありがとう。」そう言って彼女は歯磨きをしに洗面所へ向かう。磨き終えると、ベッドに横になる彼女。「一緒に寝よっか、おいで。」と言った。僕は喜んで彼女の布団にもぐり込む。彼女は温かくて柔らかい。ただ、手足はかなり冷えていて僕を抱え込むようにして眠りにつく。僕はそんな彼女の右耳と首筋を舐める。化粧水の苦い味が僕の口内に広がる。それから頬と鼻、最後におでこにキスをして僕も眠りについた。